人形(ヒトガタ)の人 ③ 伏見人形 と 御所人形
土人形の話です
最も古い郷土玩具としての 土人形は
京都伏見の『伏見人形』が元祖だといわれています
伏見稲荷神社の参詣者に 稲荷山の土で作った
素焼きの 土鈴 を 土産物として
販売したのが 始まりとされます
稲荷の神は豊穣の神様 参詣者はそれを
持ち帰り 自分の田畑に蒔いたといわれています
やがて 土鈴は 招き猫や可愛い動物の土人形と変わります
伏見人形を真似た 郷土玩具の土人形が
全国各地で作られました
九州で最も古い長崎の古賀人形もそのひとつです
伏見人形の中に「饅頭喰い」
と呼ばれる人形があります
童子が 饅頭を右手と左手で二つに割った像ですが
この人形の謂れが面白いのです
ある時 大人が童子に
「お父さんとお母さんとどちらが好き」
と聞いたら
童子は 饅頭を二つに割って
「この饅頭 右と左 どちらが美味しいですか」
と問い返したと言います
頭の良い童子を授かりたいという思いで
評判となり 買われていったといいます
京都では 御所人形が有名です
愛玩用の人形として江戸時代中期に大成され
宮中の慶事や出産 あるいは結婚など
様々な祝事の際に飾られてきた由緒ある人形です
丸々と太った健康そのものの
三頭身の稚児を象った
白肌の 愛くるしい人形です
御所人形の起源をたどれば
平安期に作られた
子供の誕生と共に枕元に置いて
幼児にふりかかる穢れを移し守る
祓いの人形
天児(あまがつ)這子(ほうこ)
だといわれています