蝉 時 雨
夏の早い朝
微睡みの中で けたたましく
叫ぶように鳴く 蝉の声で 眼が覚める
梅雨入りを 待ちかねたように 鳴き出したから
下手な 気象予報士よりも 賢いのかもしれない
《 く ま ぜ み 》は ここでは 〈ワシワシ〉ともいう
蝉の中でも 強者(つわもの) の武士(もののふ)のようだ
夏が来たぞと 触れ回るかのように 激しく鳴く
すべての人が 喧しいと思うのかと思えば
そうでも ないようである
《 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声 》
( しずけや いわにしみいる せみのこえ)
芭蕉
立秋(8月7日)を過ぎると 残暑というが
朝夕の風に秋の気配が漂うようになる頃
七十二候 の 《 寒蟬鳴く》(ひぐらしなく)は
8月12日 から 盆過ぎまで
カナカナ と 夕暮れ近く《 ひ ぐ ら し 》が鳴く
送る 魂 を 惜しむように カナカナと哀しく啼く
《 松風の音あはれなる山里にさびしさ添ふるひぐらしの声 》
西行
二百十日 (9月1日) を過ぎると
暑かった 夏を惜しむように 《 ほ う し ぜ み 》が鳴き出す
白き秋 の 迎え人 のように
《 鳴くあとの やや 淋しさや 秋の蝉 》
子規
《 蛍二十日に蝉三日 》(ほたるはつかにせみみっか)
という言葉があります
それにしても 蛍や蝉は 短い命だということをいったのでしょうが
これは 正確ではありません 実は蝉は 成虫になってから
一ヶ月は生きているといいますから 蝉の方が長く生きています
蛍の方が短命だったのです
都々逸(どどいつ) の中にも
蛍の方が 短命だという歌がありました
《 恋にこがれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ螢が 身をこがす 》
by nonkei7332
| 2016-07-20 14:03
| 日記
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