〈 春惜しむ 〉〈 風薫る 〉は 同じ 季節の季語です
こんな 歌がありました
《 風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残 を いかにとやせん 》
赤穂藩主 浅野長矩 (あそうながのり) の辞世の句です
訳 : 薫る風が 春を惜しむように 花を散らしていく
私の 無念を どう伝えたらいいのだろうか
浅野内匠頭が 切腹をしたのが 旧暦の3月14日
今の暦で言えば 5月2日 になるようです
とすると 風が散るのを 誘う花とは 何の花でしょう
桜 ではないですよね 今日の 桜 は すでに 若葉に覆われて
花の名残りなど どこにもありません
この時期 私の花暦でいうと 〈 藤 〉〈 ツツジ 〉です
《 藤波の咲き行く見れば 霍公鳥 鳴くべき時に 近づきにけり 》
万葉集14巻4042 田辺福麻呂
〈訳〉: 薫る風に揺れる 藤の花をみると
ほととぎす の鳴く季節 ( 夏 ) は もうすぐだ
五月の風 は 薫風といいます
南風が緑の草木を渡って
すがすがしく匂うように吹いてくる風をいいます
〈 薫る 〉と〈 匂う 〉 同じようでも 何かが違います
「 かおり 」 は ほのかに 立ちのぼってくる 漂う 感覚であり
まず 鼻から先に感じる 感覚でしょうか とすると
〈 梅 〉は 「かおる」ですね
「 におい 」は はなやかに 浮き出してくる 感覚であり
まずは 目から先に 感じる 感覚でしょうか とすると
〈 桜 〉は 「におう」なんでしょうか
微妙に違う この国の 美意識 は 難解です
《 匂い起こせよ 梅の花 》 《 香り起こせよ 梅の花 》
今度 夢の中で 菅公 にお会いしたら
どうして〈 梅 〉は 匂ったのか
なぜ 香らなかったのか 聞いてみることにしましょう
リンドウ
それにしても この時期の花
〈 紫 〉の花 が多いのは なぜでしょうか
アイリス