孤悲(こひ) は 片恋
万葉 の 頃
男 が 女 の 許へ 通いました
女 は 通ってくる 男 を待つしかなかったのです
待つ日 が 重なると 想いは 乱れます
女 は 想いを 筆にのせ 歌を詠み
ひとずてに 送ることしか できなかったのです
『 あなた が いない日々は こんなにも 寂しいのです 』
戀 とは
心の上に 糸しい(愛しい) 糸しい(愛しい) 言葉をのせた 想いでした
だから 女たちは 万葉仮名 で 戀 は 孤悲 (こひ) と書いたのでした
孤独な 悲しい 想い だったのです
歌聖 (柿本人麻呂) が 孤悲(こひ) のうたを 詠みました
《 鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めらむ 》
万葉集11巻2513
【 私訳 】 : 雷が 少しだけ鳴って 曇ってきて 雨が 降らないでしょうか
そうしたら あなたを 帰さずにできるのに
この歌に 返歌を 詠みました
《 鳴る神の 光響みて降らずとも 我は止らむ 妹し止めてば 》
万葉集11巻2514
【私訳】: 雷が鳴らなくても 雨が降らなくても 私はここにいます
あなたが 一言 「ここに居て」 と 言ってくれるのであれば
『 言の葉の庭 』(ことのは の にわ)
人麻呂 のこの歌を テーマにした
アニメの 美しい作品 があります
甘く せつない 片恋の物語です
《 始めの あらすじ 》
靴職人を目指す 高校一年生の 〈タカオ〉は 15歳
雨の日 授業をさぼっては 庭園で靴のデザインを考えていた。
ある日 タカオは 庭園で 昼間から ビールを飲んでいる
不思議な女性 27歳の 〈ユキノ〉に出会う
どこかで 会ったかと タカオ が尋ねると ユキノ は否定し
「鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
の 万葉集の歌を 言い残して 去っていった
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万葉集では
戀 は 「孤悲」のほかに 「古悲」と書かれた 歌もあります
サントリーオールド の CM 憶えています
《 恋は 遠い日の花火 ではない 》
恋は 何時かは 冷めるもの と 誰かが言いました
でも 永遠に 冷めない 恋が あるとすれば
それは 『 片 恋 』 なのかもしれませんね
by nonkei7332
| 2015-04-15 09:14
| 万葉集
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