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《 磯 良 の 海 》

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磯良の海に想いを寄せて

万葉 の 懸想文 (けそうぶみ)



《 懸 想 文 》とは


恋文。相手に対する恋心を和歌に詠んで


紙にしたため それに関連する草木を添えて


人づてに渡しあったといいます


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〈鏡王女〉川崎幸子さん 万葉人形集 より


もう 記憶も 覚束ないほど


たくさんの 季節がすぎてしまいました


あの頃のことは いまでも 心の中の宝箱に 隠しています


今のように MAIL も ない時代でしたから


二人を繋ぐものは 手紙 だけでしたね


端麗な あなたの字に 似てもにつかない わたしの 丸文字は


いまでも 子供達に 笑われています


たくさん あった 貴女からの 手紙は もう どこにも ありません


ただ 一つだけ 残っているものが あるとすれば


あの頃 わたしにくれた 手紙のなかに 書いてあった


万葉集の 《 鏡 王 女 》の ひとつの 歌です


過ぎ去った 日々の数ほど 何度も口ずさんだ 歌ですから


いまでも すらすらと 詠むことができます


《 秋山の 木の下隠り 行く水の 我れこそ益さめ 御思ほすよりは 》

2-92

( あきやまの このしたがくり ゆくみづの われこそまさめ おもほすよりは )


秋山の 樹の下を


隠れるようにして 流れていく 水のように


私は 流れて行かなければなりません


でも 私は あなたより もっと


あなたのことを 想っています



この歌は〈鏡王女〉の 遠の朝廷 ( とおのみかど ) に住む

〈 志 貴 皇 子 〉に送った歌です


〈天智天皇〉へ 送った 歌だとされている歌ですが

真実は 皇子の存在を隠さなければならなかった 誰かの 仕業です

記紀 にも 万葉集にも 隠された 倭国九州王朝

白村江の戦い に 自ら 赴いた

〈筑紫君薩夜麻王〉(ちくしのきみ さちやまおう) は

戦いに敗れ 唐の捕虜になってしまいます

天皇の 代行を務めたのが 薩夜麻王 の 皇子


志貴皇子 ( 中宮天皇) でした

皇子の愛した 〈鏡王女〉 と 妹の〈額田王女〉は

唐と手を組んだ 天智 のもとに

采女(うねめ) として 大和に 送られてしまうのです

鏡王女 は 大和 で 皇子の子を 産みます

そんな 悲しい 別れの歌 だったんですね



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鏡王女 万葉歌碑



毎年 秋に なると


私は あなたの 面影を追って あの 美術館にいきます


去年は あなたの名前を見つけて 思わず 涙してしまいました



遠い 遠い 万葉 の 懸想文。

宛名を 書くこともない 懸想文。






by nonkei7332 | 2015-01-27 13:56 | 万葉集 | Comments(0)