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《 磯 良 の 海 》

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磯良の海に想いを寄せて

邯鄲(かんたん) の 枕



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冬隣 とでも言うのでしょうか

急に 寒くなりました

こんな時は ユックリ 湯に浸かり暖かい羽毛に包まれて

夢幻 の 世界で遊ぶにかぎるのですが

《 能 》の本をみていたら

『 邯鄲 』という 夢幻能 の演目がありました

中国の唐時代の伝奇小説「 枕中記 」からの説話です




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邯鄲面




《 邯鄲(かんたん) の枕 》


昔、中国の蜀という国に、盧生(ろせい) という男が住んでいました。

彼は、日々ただ漠然と暮らしていたのですが、

あるとき、楚の国の 羊飛山に偉いお坊さんがいると聞き

どう生きるべきか尋ねてみようと 思い立ち、旅に出ます。

羊飛山への道すがら、盧生 は 邯鄲 という町で 宿を取りました

その宿で 女主人に勧められて 粟のご飯が炊ける までの間

「邯鄲の枕」という不思議な枕で一眠りすることにしました。

邯鄲の枕は以前、女主人がある仙術使いから貰ったもので、

未来につ いて悟りを得られるという いわくつきの枕でした。

さて、盧生が寝ていると、誰かが呼びに来ました。

それは楚の国の 皇帝の勅使で、

盧生に帝位を譲るために遣わされたと言うのです。

盧生は思いがけない申し出に不審がりながらも、玉の輿に乗り、

宮殿へ 行きました。

その宮殿の様子と言ったら、壮大で豪華絢爛、

驚くほど 素晴らしく、

極楽か天宮かと思われるほどでした

盧生が皇帝になって栄華をほしいままにし、

五十年が過ぎました

宮殿では、在位五十年の祝宴が催されます

寿命を長らえる酒が献上 され、舞人が祝賀の舞を舞うと、

盧生も興にのり、みずから舞い始め ました。

すると昼夜、春夏秋冬が目まぐるしく移り変わる様子が眼前 に展開され、

盧生が面白く楽しんでいると、

やがて途切れ途切れにな り、一切が消え失せます。

気づけば宿の女主人が、粟ご飯が炊けたと 起こしに来ていて、

盧生は目覚めます。

皇帝在位五十年は夢の中の出来事だったのです。

五十年の栄華も一睡の夢であり、

粟ご飯が炊ける間の一炊の夢で した。

盧生はそこでこの世はすべて

夢のようにはかないものだという 悟りを得ます。

そしてこの邯鄲の枕こそ、自分の求めていた人生の師 であったと感謝して、

望みをかなえて帰途につくのでした。






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世阿弥像



《 秘すれば花なり 秘せずば花なるべからず 》

世阿弥 の言葉


夢幻能の世界を大成させた 世阿弥 にとって

「花」こそが

生涯を賭けて追及した 美学 でした

永享6年(1434年)72歳の 世阿弥 は

突然、都からの追放を言い渡され

その後 81歳で 配流の地 佐渡 で

「花追い人」と呼ばれた

波乱な生涯をとじます



同じ頃 永享9年 (1437年)

京都 四条に住む

若き 木偶師 小堀甚左衛門正直 は

博多 櫛田神社に 招聘され

京都から 博多へと 下向します


二人とも

〈 筑紫傀儡の民 〉の末裔 だったのでしょうか






by nonkei7332 | 2014-11-14 18:19 | | Trackback | Comments(0)

by イソラ