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《 磯 良 の 海 》

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磯良の海に想いを寄せて

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ちょうど 50年前
東京オリンピックがあった年
私が 小学校卒業の時の話だ
木造校舎の二階の教室だった
窓際の前から 三番目が私の席で ひとつ前の席が
ヒロシの席だった
ヒロシのあだ名は〈ポッキン〉
いまにも折れそうな位 痩せていたから
みんなからそう呼ばれていた
いつも ニコニコしていて 優しい無口な男の子だった
ある日 ヒロシはノートいっぱいに 〈風信子〉という字を書いていた
私が 「誰の名前?」と聞くと
ヒロシは「違う」と言って 急いで ノートを閉じた
私は 前の黒板までいって 大きな字で 〈風信子〉と書いた
その時 担任の先生が 教室に入ってきたのだ
「席につきなさい」 の一言で
字を消すのもできず そのまま席についた私に
「これは なんの名前ですか」と先生は聞いた
「それは ヒロシ君の好きな女の子の名前だと思います」と
とっさに私は答えると 皆んながどっと笑った
「どうして そう思うの?」 先生は重ねて私に聞いた
「だって ヒロシ君がノートにびっしり書いていたからです」
というと またしても どよめきが 教室中に響いた
「静かに」 先生はそう言って
ニコニコしながら ヒロシに言った
「ヒロシ君 可愛い名前ね」
ヒロシは 真っ赤な顔をして立ち上がると
「ち 違います」 と答えた それが 精一杯だった
先生は 黒板に向かい 私が書いた 白墨の字の横に
黄色いチョークで 〈ヒヤシンス〉と書いて
「この名前は人の名前ではなくて 花の名前です」
「ヒロシ君 よく知ってたね」と先生はヒロシにむかって言った
ヒロシは 真っ赤な顔を また真っ紅にして 下を向いていた
私はヒロシの背中を突ついて
「ポッキン ゴメン」と小さな声でいうと
ポッキンは 下を向いたまま 小さく 頷いた


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《 遠い昔のギリシャの話 》

ヒュアキントスはスパルタ生まれの美しい少年だった。
アポローンと 西風の神ゼピュロスの二人は競って
ヒュアキントスの気を惹こうとしたが、
彼はアポローンとばかり仲良くしていた。
ある日、仲良く円盤投げを楽しんでいた時、
アポローンの投げた円盤がヒュアキュントスの頭に当たり、
ヒュアキントスは死んでしまった。
西風の神ゼピュロスが二人の仲睦まじい様子を空から見て嫉妬し、
円盤の飛ぶ方向を西風で狂わせてしまったからだった
アポローンは嘆き悲しみ 溢れ出た少年の真っ赤な血の中から、
赤い花が咲いた
人々は この赤い花を少年の名にちなんで
ヒュアキントス(ヒアシンス)と呼ぶようになったと言う。






by nonkei7332 | 2014-04-15 09:31 | | Comments(0)

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桜の季節は
出会いと別離の 季節 でもある

人は 一生の中で いったい どれだけの人と出会うのだろうか
そして 人は出逢った人と同じ数だけの別離を経験する
出会いと別離は 人の世の定めなのだ

いい出会いをする事も大事なことだが
同じように いい 別離をする事も大事なことなのだと
若い頃 教えてくれた人がいた

形の違いはあるけれど
いつかは 必ずくるのが 別離なら
いい出会いとは  
『別れの時に この人との 出会いは自分の人生の中で 素敵な出会いだった 』
といえるかどうかなのだろう

いまの出会いを大切にしていますかという問いは
いい別れをする為の努力をしていますかという問いと
同じなのかもしれない

振り返ると 私は素敵な出会いばかりしてきたわけではない
努力が足らずに 後悔の残る哀しい別離も多く経験してきたからだ
見事に咲き乱れ
そして いっきに 散っていく
この 誇らしげな 桜 のように
これからは そんな出会いと別離をしたい
私がこの世と訣れる その日 までは

『 散る桜 残る桜も 散る桜 』

良寛和尚は訣れの時にこう詠んだ

桜流しの雨が降る。


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by nonkei7332 | 2014-03-30 14:10 | 日記 | Comments(0)


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春の雨が降る
細かな 優しい あたたかな雨だ
この時期に降る雨は花を育てるという
育てられる花は桜だろうか
それとも菜の花や野の花々だろうか

〈春に三日の晴れなし〉
ということは
〈春に三日の雨なし〉
ともいえるのかな?
だとすれば 明日は晴れ

春色の風が吹く公園を
雨が育ててくれた
春の花を探しにいこう


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by nonkei7332 | 2014-03-26 23:47 | 日記 | Comments(0)

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辛夷の花が咲きました
残雪にも似た
白い清楚な辛夷の花が咲くと
北国にも春がくると
聞いたことがある

昔 農家ではこの花がさくと
田圃を打ち返す農作業を始めたから
田打桜との別名があり
桜より 早く咲くので
ひきざくら との別名もあるという

同じ頃に咲く 白木蓮とよく似てはいるが
白木蓮よりも小さくて 匂いも強いみたいだ

寒さも彼岸までだし
外に出て 大きく深呼吸でもして
春の訪れを満喫しようと思ってはみたが
あいにく どんよりと景色が霞んでいる
黄砂のせいかと思いきや
念のために Webで予報を確認する
なんと PM2.5 43.1マイキログラム
やっぱり 基準値超過である
行動の目安を参考に行動して下さいと書いてある
 ・外出するときは、マスク等を着用しましょう。
 ・外出から帰ったら、目を洗い、うがいをしましょう。
 ・空気の入替は控えましょう。
 ・車の運転時は窓を閉めるようにしましょう。

住みにくい世の中になったものだ

目を細めると
辛夷の花が咲く丘の向こうの海で
磯良の神が
拳(こぶし)を挙げておられるのが見えた
何に向かって 怒っておられるのだろうか


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by nonkei7332 | 2014-03-19 14:19 | | Comments(0)
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《 我がやどに 盛りに咲ける 梅の花 散るべくなりぬ 見む人もがも 》
(万葉集五巻851)

(訳) : 我が家の、今を盛りと咲いている梅の花が散りそうです。
見てくれる人がいればいいのに


梅は別名を 好文木 とも 春待草 とも言われ
春を告げる花である
花見といえば 桜 だが
それも 江戸時代以降の話であって
奈良時代以前は 花といえば 梅の事だったらしい


大伴旅人(おおとものたびと)
万葉集の中で 赴任地の太宰府の梅を多く詠んだ
菅公がまだ太宰府にくる前の話だから 飛梅以前より
ここは 梅の名所だったのだろう


《 梅の花 夢に語らく みやびたる 花と我れ思ふ 酒に浮かべこそ 》
(万葉集五巻852)

(訳) : 梅の花が夢に出てきて語ることには
「みやびな花だと(私自身は)思っています
ですから、酒に浮かべてくださいな」と。


夢に出てきた梅の花は 遠い都に住む妻なのだろうか
遠い地に住む 酒好きな主人を心配しつつも
梅の花を 私と想って 酒の器に浮かべて飲んでください
こんな 夢を見た 単身赴任族の男たちの夜は哀しい
酒に浮かんだ梅の花は 涙でかすみ
ついつい 深酒してしまうのだろう
こんな 風情を持ち合わせた 男や女は
もう 今の世には 居ないのかも しれないが…

そんな雅(みやび)な 夢を見てみたいものだ




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名づけ親は、第39代太宰府天満宮宮司・西高辻信良氏。
名前の由来は、万葉集の代表的な歌人・大伴旅人(おおとものたびと) 。
大宰帥(だざいのそち)として大宰府に赴任した旅人は、
この地で多くの歌を残しとされています。
また旅人は"たびびと" と読めるため、
太宰府を旅する列車という意味も込められています。
(西鉄ホームページより)



by nonkei7332 | 2014-03-15 07:59 | 万葉集 | Comments(0)