風 の 色
雨も降らないのに
『今日 梅雨入りしたとよ』と
バス停で おばちゃん達が教えてくれました
ほんとかよと 思っていたら
瞬く間に 吹いてきた 風に
雨の匂いが立ち込めていたのでした
この時期 壱岐の 漁師達は
梅雨を知らせる 南風(はえ) に色をつけました
黒南風 (くろばえ) は 梅雨の初期に 雨を伴い
もしくは 天暗くして吹きつづく 強い南風 の 事です
白南風 (しろばえ) は 梅雨の終わり 天気晴朗 の中 吹きつづく
強い南風 の事をいいました
〈シロバエ〉や 〈クロバエ〉が吹くと 漁に出れない日が 続きます
『シトベー ゴトベー』と 漁師達は そう言って 嘆いたと言います
米を 四斗俵 五斗俵 も食べる間
漁に出れないと いう意味だったそうです
風の色 ?
無色 じゃないの なんて 無粋なこと言わないで
和色辞典をのぞいてみました
私が 感じる 今日 の 風の色は
秘色 (ひそく)です
青磁の肌の色のような浅い緑色のことで
焼き物の青磁の美しい肌色を模した色名です
青磁は釉薬に含まれる鉄分により
独特の灰みを帯びた青緑色になりますが
その色が神秘的な美しさであることから
『秘色』の色名がつきました
青磁が日本に伝わったのは平安時代です
「秘色(ひそく)」という呼び名も
いっしょに伝わってきたといわれています
この頃から 博多の町には
山笠法被姿の 男達が うろうろし出します
博多弁で 『そうつく』といいます
そうつく といえば 雨の中 傘を差してでも 行ってみたいのが
箱崎筥崎宮 ですね
紫陽花苑 の 3500株 の アジサイ
参道の 恵光院の 菩提樹の花
花庭園 の5000株 の 百合の花
特に あじさい苑は
雨がシトシト降る日を選んで行くのがおすすめです
色とりどりの 紫陽花に 囲まれて
俗世を忘れ 至福の時を過ごせます