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《 磯 良 の 海 》

hisamitsu.exblog.jp

磯良の海に想いを寄せて

春と修羅



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興福寺 阿修羅像




1922年(大正10年) 48


詩人は 浅い春の北の大地を とぼとぼと 歩きながら


自らの 心模様を 言葉に変えました





心象の はいいろはがねから


あけびのつるは くもにからまり


のばらのやぶ や 腐植の濕地


いちめんのいちめんの 諂曲(てんごく)模様


(正午の管楽(くわんがく)よりもしげく


 琥珀のかけらがそそぐとき)


いかりの にがさ また青さ


四月の気層のひかりの底を唾(つばき)し


はぎしり ゆききする


おれは ひとりの修羅 なのだ


・・・・





もう 何度も読んだ


宮澤賢治 『春と修羅』の詩です



ひとりの修羅として この世に立ち向かう時


憤り 怒り 口惜しさ 反芻しながら


唾を吐き 歯ぎしりをしながら 歩くしかない


そんな 心象が描かれています





冬は必ず春となります しかし 来る春は



いつも 明るい希望に満ちた春ばかり とはいえません


5年前 4


私は リハビリ病棟の窓の外から


桜の散りそめる風の姿を追っていました


テレビでは 連日 311 悲しみが伝えられていました


慣れない車椅子を右手で引きずりながら


まがりなりにも 生きている自分と


大切な人を失くし 哀切の日々を送る人達のはざまで


私も ひとりの修羅だったのでした





春と修羅_b0325317_12205115.jpg




遅い桜が 満開となりましたが


福岡は 連日の雨です



見る人に 花も昔を思ひ出てて 恋しかるべし 雨にしをるる



西行の歌です


桜目線で この歌を解釈すると こうなります



今年も また 私に会いに来てくれたのですね


私も あの頃のことを 想い出しています


雨に濡れているのではありません


これは 私の涙です








by nonkei7332 | 2017-04-07 13:12 | 日記 | Trackback | Comments(0)

by イソラ