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《 磯 良 の 海 》

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磯良の海に想いを寄せて

桃花源 から来た 少女



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花桃




公園に 杏子の花 が満開の頃
新学期の小学校に 母親に連れられて
ひとりの 外国籍の 女の子が 転校してきました

みんなと同じように 私にも か細い声で
「おはようございます」
と やっと 覚えた日本語だったのでしょうか
少しはにかんだように でも はっきりと
あいさつ してくれました

この日が ももちゃん と 私の 最初の 出会いでした



昔々
もっと もっと ずーっと 昔
2600年 も昔の話
中国大陸は 春秋戦国時代 と 言われ
多くの小国が 統一を目指して 覇権を争っていた頃
今の湖南省 付近 水の都 と呼ばれていた
蘇州を都としていた国がありました
その名を 『 呉 』といいました

この国には 人々に伝えられている 昔話がありました

昔々 ひとりの漁師が
小舟に乗って 川をさかのぼり
山奥深くに入り込むと 桃の花が一面に咲き乱れる
水源にまで たどり着きました
さらに 山奥まで行くと 細長い洞窟があって
穴をぬけると そこには 一面 花に覆われた
美しい村がありました
家々からは 炊事のための白い煙があがり
村人たちは 幸せに暮らしていました
そこで 漁師 は 村人たちと 楽しい日々を過ごしました
やがて 漁師は 穴をぬけて 里にもどると
里人に 美しい村の話をしました
みんなで 桃の花が咲く 水源を探しましたが
とうとう だれも 見つけることができませんでした
呉の国の人達は その 美しい 理想の村の事を
『 桃源郷 』『 桃花源 』と呼ぶようになったのでした


やがて 呉の国は
隣の「 越 」の国に滅ぼされてしまいます
殺されるか 奴隷にされるかしかなかった 呉の人達は
葦舟に乗って 長江を下り 黄海を渡って
かつて 夢見た 桃源郷 を 探して
海流に身をまかせたのでした
たどり着いたのは 水の綺麗な 美しい島でした
人々は ここで
稲をつくり 鉄を作り 織物をつくり
そして ひとつの 国を 興したのでした

その国の名を『 倭 国 』といいます

この国 (日本) の 始まりだったのです



転校生の女の子 は
毎日 笑顔で 朝のあいさつをしてくれました
やがて 友達もできました
運動会 スナップを撮って 写真をあげると
とても 嬉しそうでした
そんな 或る日 その子から 一枚の手紙を もらいました
たどたどしい 字では ありましたが

『 毎朝 ずーと 朝のあいさつ
⚪︎⚪︎さん ありがとうございます。
⚪︎⚪︎さん 大好きです。』
そして
『 わたしは ももちゃんです 。』
と 書いてありました

爺様には 嬉しい手紙でした
孫からもらった 手紙のようでした
他の子に 〈ももちゃん〉は なんて言う名前なの と聞くと

「 桃 が好きだから ももちゃん らしいよ
みんなも 先生も ももちゃん といっているよ 」
と教えてくれました



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長野 昼神温泉 花桃の里





桃の国から来た 少女

私の中に 万葉集 の一首 が 思いつきます


《 春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子 》
万葉集 19巻 4139 大伴家持


( 私訳 )

春の庭に 桃の花が 紅く 輝いています

その下の道に たたずむ 少女も 輝いてみえます



先日 夏休みの野外活動で
子供達は 飯ごう炊さん をして
自分たちで カレーを作りました
ももちゃん も ご飯が美味しいと言って
二回もお代わりしていました

みんなと はしゃいでいる ももちゃん の背中に
私は こう つぶやいていました


この美味しい ご飯は ずっと ずっと 遠い昔

ももちゃん の産まれた国の 人達が

死ぬ思いをして 運んでくれた 宝物なんだよ

そして ももちゃんが 今いる この国こそが

桃花源 と呼ばれた 美しい国なんだよ って







by nonkei7332 | 2015-08-10 09:05 | 古代史 | Comments(0)

by ヒサミツ