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《 磯 良 の 海 》

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磯良の海に想いを寄せて

踏歌(とうか)について


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香椎宮秋季大祭での 踏歌奉納




香椎宮には 古くから

踏歌(とうか)と呼ばれる 歌と舞 が 伝承されています


この 踏歌 の起源を辿ると

中国の《詩経》における漢詩表現の六種の形態(六儀)

《「風」「賦」「比」「興」「雅」「頌」》を

紀貫之 (868〜945) (古今和歌集の撰者) が 古今和歌集仮名序において

それを転用し 和歌 の 六種の様式

「そえ歌」「かぞえ歌」「なずらえ歌」

「たとえ歌」「ただごと歌」「いわい歌」

に分けたことから始まります


この 頌歌(いわい歌) が 香椎宮踏歌 でした


頌歌 (いわい歌) については 古今和歌集仮名序 では 次のように書かれています


六つには 頌歌 (いわい歌)

《 此の宮は 宜も富みけり 草の 三つ葉四つ葉に 殿堂造りせり 》

《 このとのは むべにとみけり さきくさの みつばよつばに とのつくりせり 》

これは 世をほめて神につぐる也。




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香椎造り


この歌は 香椎宮の荘厳な造りの様を讃えた歌です

そもそも 香椎宮は 仲哀天皇 神功皇后の霊を祀る

「廟」として建てられたものですから

他の神社とは違い 「香椎造」といわれる 独特な社の造りになっています

〈三つ葉四つ葉〉とは 軒端が三つも四つも重なっている様を形容した言葉です

〈世をほめて神につぐる〉とあるように 建物だけではなく

天皇の世を讃え 神に捧げる 祝いの歌 だったのでしょう


霊廟である 香椎宮に 唯一 永く奉納されてきた 踏歌も

1586年の島津氏の侵攻を受け 香椎宮社殿が 焼失

さらにその後 秀吉に社領までも没収された為に その後永く絶えていましたが

昭和54年 木下祝夫宮司により再興され

現在では 春と秋の大祭で奉納されています



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うばゆり



この踏歌のなかに 《 さきくさ 》という 植物がでてきます


真鍋大覚さん は この草を 七夕百合 ( 姥百合 ) だと いわれ

白鳥座の中に輝く 朱卵星(みかのほし) のことだと 解釈されました


『儺の国の星拾遺』(266p) に次のように 書かれています



『 朱卵星 (みかのほし)

三伏の大暑を遣ってから、空の色は日増しに高く遠くなります。

玄天はすでに秋の深まりにはまってくる頃、

時おり 夏草の上をわたる風にも 秋の気配が感ぜられる頃

白鳥座に淀む 酸漿(ほおずき)の色の星が これでありました。

昔はもっと 色があざやかであったと語られております。

三枝星 (さきくさのほし) の名のごとく 神殿の色彩に この星を写して

人と神の相和し相睦むところと したのであります。

七夕の 雅な 幻映 でありました。』



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白鳥座の星雲



また 『香椎宮踏歌由来略記』真鍋大覚著 には


これは 天の川の中央、夏の七夕の夜を飾る 牽牛と織姫の間にある

白鳥座に輝いておりました 巨大 かつ 華麗な 変光星雲のことでありました。

今は X線だけを放射する 暗黒星雲でありまして、豪州天文台の H.Cミンネット

J.Hピッデイトン博士 両博士が昭和26年(1951年)の X線写真撮影によると

その位置は 赤緯30度52.0分、赤経20時49.75分、光度等級 10.2 であります

今から 400年程昔までは まだ時折りその光芒をみることが出来ておりました。

季節は 那珂川で 七夕百合 が白く ほのかに香る

旧暦七月七日の頃に 天頂に光っていたとききます。』




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うばゆりの実



七夕百合については


『 この歌の頃の星の色は 赤や白 、又、紅や朱や紫に 三つ四つと

花弁のごとき光の延びの美しさをよく描写しております。

七夕百合 は 牧野富太郎博士の植物図鑑に 「うばゆり」とでております。

那珂川で 「とんぼゆり」或は

「からすのぜんぜん」の名で親しまれております。

正式には 「烏幡石菖 (とばゆり)」と書いていたものと見えます。

秋 10月を過ぎると縦に長い楕円形 即ち

この星雲の形そのままの殻が三つに割れ、

各二房一対の網目の中に50〜100以上の薄い翅をつけた種子が風に乗って

長く列をなして次々に飛び散っています。

おそらく 「さきくさ」とは

実の先が裂けて分かれるところから出る名かも知れません。』




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うばゆり


香椎宮踏歌 と


「さきくさ」と 呼ばれた 「七夕百合」


そして 「朱卵星」と呼ばれる 白鳥座の変光星雲


天 と 地 と 人 が 繋がって


ひとつの 神話 がうまれたようです。







by nonkei7332 | 2015-05-30 22:01 | 古代史 | Comments(0)