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《 磯 良 の 海 》

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磯良の海に想いを寄せて

防人(さきもり) の うた



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大伴家持の像



664年に 中大兄皇子 が〈防人と烽(のろし)の制度〉を作ります
これは、前年(663年) 百済を助ける為に 唐・新羅 の連合軍と戦いますが
〈白村江の戦い〉に負けたために 対馬・壱岐・筑紫に兵を配置したり
水城を作ったりして 防衛網をつくる為のものです
敗戦により 九州の兵の多くが 唐の捕虜となったために
徴兵令を敷いて 集めた兵が 《 防 人 》とよばれています
主に 東国から 2000人の名もなき民が その役を課せられました
防人の任期は 3年 です 全てが自己負担という 厳しいものでした
生きて 帰れるかどうかもわからない 戦役でした
残された家族の思いは 計り知れません

そのころ 《 大伴家持 》(おおともやかもち)
兵部少輔の職にあり 東国から防人の兵士を集め
難波津から筑紫に向かって船出させる任にあたっていました
家持は 東国の国府に 防人達の歌 を集めるように 命じます
その中から 84首 の歌を選び 自らも 23首の歌を歌いました

万葉集巻二十には
「天平勝宝七歳乙未二月、相替へて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」とあります

《 防人に 行くは誰が背と問ふ人を 見るが羨しさ 物思ひもせず 》
万葉集巻20-4425 作者 : 不明

訳 : 「防人に行くのはどなたのだんな様だろうね」と
何の悩みも無く 話をしている人を見るとうらやましくて仕方ありません
(筑紫へ向かう 主人を見送る 妻が詠んだ歌です)

《 小竹が葉の さやく霜夜に七重かる 衣に増せる 子ろが肌はも 》
万葉集巻20-4431 作者 : 不明

訳 : 笹の葉が揺れ 霜が降る冷たい夜は 衣を七枚も重ね着をします
でもそれよりも 温かい 妻の肌のぬくもりを思い出してしまいます


家持は 朝廷の指示により 万葉集を編纂するのですが
ある意味で 朝廷の意向を憎む 民の声を どうして こんなにも
たくさん 残そうとしたのか という 疑問が残ります
私は 家持の中に 抑えることのできない 衝動があったように思えてなりません
それは かつては 天皇の側近として この国を守って来た 先祖の怨念だったのかもしれません
そうでないとしても 家持にとって 多くの「防人の歌」は
《 反戦歌 》だったのではないでしょうか


いつの時代でも 国家という 魔性に踊らされた 為政者のために
哀しむのは いつも 名も無き民 でした
民の悲しみは 残された家族であり
変わってはならない 故郷の山河だったのです



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《 さだまさし 》は 反戦の叫びを「防人の詩」に込めて 歌いあげました


おしえてください

この世に生きとしいけるものの

すべての生命に限りがあるのならば

海は死にますか 山は死にますか

風はどうですか 空もそうですか

おしえてください



《 村上春樹 》 は エルサレム賞の 受賞スピーチで こう話しました

私が皆さんにお伝えしたいことは一つだけです
我々は国や人種や宗教を超えて 同じ人間なのだということ
システムという名の硬い壁に立ち向かう壊れやすい卵だということです
見たところ 壁と戦っても勝ち目はありません
壁はあまりに高く あまりに暗くて-あまりに冷たいのです
少しでも勝機があるとしたら
それは自分と他人の魂が究極的に唯一無二でかけがえのないものであると信じること
そして、魂を一つにしたときに得られる温もりだけです
考えてみてください 我々のうちにははっきりとした、生きている魂があります
システムは魂を持っていません システムに我々を搾取させてはいけません
システムに生命を任せてはいけません システムが我々を作ったのではありません
我々がシステムを作ったのです


今日も テレビのニュースでは フランス で起きた 悲劇が 伝えられています

そして 日本では 新春恒例の宮中行事『歌会始の儀』を あったことを
21,000人の国民が 歌を送ってきたことを テレビで 伝えています

《 夕やみの せまる田に入り 稔りたる 稲の根本に 鎌をあてがふ 》

天皇陛下は 毎年植えた稲を鎌で収穫される 秋の情景を詠まれました

21000首の「歌会始の歌」 そして 98首の「防人の歌」
同じ 日本人の歌だということを 私達は忘れてはいけないのです

今日 太宰府天満宮の「飛梅」が 例年より 16日も早く咲いたそうです
国博での 七支刀展示に 合わせてくれた 菅公の 計らいみたいですね

この星の ほんとの春は いつになるのでしょうか



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プリムラジュリアン の 花








by nonkei7332 | 2015-01-14 23:43 | 万葉集 | Comments(0)

by ヒサミツ