ブログトップ

《 磯 良 の 海 》

hisamitsu.exblog.jp

磯良の海に想いを寄せて

〈 シテ 〉と 〈 ワキ 〉について



b0325317_01142512.jpg


能 の話をしましょう

能では 舞台に立つ 主人公のことを 〈シテ〉 といいます
そして その シテ の相手役を 〈ワキ〉といいます
(一般に言う脇役はここからきています)

ワキ は必ず 男役がなります そして ワキ役は 面をつけることはありません
能は 仮面劇ですが 能面を付けるのは シテ役 だけです

能 の中には 現実と夢が交差しながら物語が進んでいく 構成の能を
〈 夢幻能 〉といいます 世阿弥 が 確立した 様式です

夢幻能 の中では 主人公(シテ) は 神 や 鬼 や 亡霊 などの 異界の者達です
いわゆる 目には見えない者 この世には存在しない者 が シテ になります
こういった シテに対応していく ワキ は この世の者で
旅の途中のひとりの 男(僧)がつとめます 面も付けない 直面の男です



b0325317_01152077.jpg


《 旅の途中の (あるところで) で ワキ は 化身の姿をした シテ と出会います 》

夢幻能の ほとんどが このパターンから 始まります

シテ と ワキ の二人は(あるところ) をめぐって
思い出話のようなものを交わしながら
途中から話がだんだん 妖しくも 深刻になって いきます
そのうちに ワキの旅人は
この者(シテ)がふつうの者ではないことに気がつきます
シテ にそのことを尋ねると 本当の自分の正体をほのめかしながらも
また会いましょうと言って姿を消してしまいます
ワキ (旅人) が 我にかえると あたりは暗くなり
消えた シテ が 本来の姿で 再び 現れ 自身の物語を語りながら
幽玄の舞を舞っていきます
ワキの者が 夢か幻かと思っているうちに ふたたび シテ の姿も消えて
演目は終わります
演目は変わっても 夢幻能は ほとんどが こういった 流れなのです



b0325317_01160639.jpg


夢幻能 においては シテ は 面を着けた 目には見えない
存在の無い 〈 異界の者 〉たちです
異界の者とは ある時は 神 であり 死者 であり
亡霊 であり 妖怪であり 鬼 でありました
何かの 理由があって この世に 想いを残していった者達 ばかりです

ワキ の 役目 とは そういった 異界の者たちの 存在を 夢の中に登場させ
無念 残念 を 夢の中で聞いてあげることであり
そのことで さまよう 怨念を 晴らしてあげる事でした

そして それは ワキの役目を 舞台を見つめる 観客達 と 共有させることで
演者 と 観客 をも含めた ひとつの舞台に仕立てることであり
共に シテ達の 抱えた この国の無念をも 晴らすべく
「呪鎮」の儀式にまで昇華させようとした
世阿弥 の 時空を超えた 壮大な試みだったのでしょう
 




b0325317_01192481.jpg


《 秋深く 夜も ひとりの Waki となり 夢幻の舞に酔いしれようか 》

ヒサミツ





by nonkei7332 | 2014-11-17 01:21 | | Comments(0)

by ヒサミツ