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《 磯 良 の 海 》

hisamitsu.exblog.jp

磯良の海に想いを寄せて

能古島(のこのしま)



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博多湾に浮かぶ 能古島に



韓紅(からくれない)の夕陽が落ちていく




つきせぬ波のざわめく声に 今夜は眠れそうにない



浜辺におりて裸足になれば 届かぬ波のもどかしさ



僕の声が 君に届いたら すてきなのに



 

井上陽水は この島を片想いの島にしてしまったが



多くの若者達 この島で一日を遊び



そして 散りゆく花を惜しむように



短い春の中で 恋に落ちていく





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沖つ鳥 鴨とふ船の 帰り来ば 也良の防人 早く告げこそ


(万葉集163866



〈訳〉: 沖に棲む鳥の鴨という名の船が帰って来たら



也良の崎守りよ、早く知らせておくれ。



也良の崎守りとは 能古島の東端の 也良岬にあった


防人(さきもり)の駐屯地のことである


この歌は、対馬への防人の食料運搬中に遭難した


志賀島の船乗り・荒雄の死を悲しみ


筑前守 山上憶良がつくった 歌だといわれている




能古島(のこのしま)_b0325317_09524658.jpeg


《風吹けば 沖つ白波 恐みと 能許の亭に 数多夜ぞ寝る》


(万葉集153673



〈訳〉 : 沖では風が吹いて白波がたち、



この白波が恐ろしく能許の泊りに何日も泊まっている




天平八年(736)、新羅を目指した遣新羅使一行は、



筑紫館(後の鴻臚館)を出発したが 荒れ狂う海の前に



韓亭(別称能許の亭、現在の唐泊)で



何日も風待ちの不安な夜を過ごしたという





写真は香椎かもめ大橋の上から 能古島を写した




夕暮れの海三景である



海神の海に横たわる この島はいつも美しい



多くの悲しみと祈りを 紅く染めて



やがて 磯良の海は静かに 夜の帳(とばり)に下りていく







by nonkei7332 | 2014-03-24 12:36 | 博多 | Trackback | Comments(0)

by イソラ